パナマハット、歴史と伝統が流れる、粋な紳士のための定番

パナマハット

2020年08月20日 17時44分




「パナマハット」は、一般的には、ナチュラル系のカラーのものが多く、トキヤ草と呼ばれる、南米原産の植物を編み込んで作る「ストローハット」の仲間です。パナマという名前がつけられているものの、「パナマハット」の製造が盛んなのは、原材料のトキヤ草がとれる国「エクアドル」です。軽く、エレガント、そして通気性に優れる「パナマハット」は、カジュアルにもフォーマルにも幅広く対応することが可能です。「パナマハット」こそが、今、あなたのクローゼットに用意すべき帽子です。

 
  パナマハットの歴史

パナマハットは、エクアドルにおいて、17世紀の初頭には作られていて、エクアドル周辺で取引が行われていました。地域での帽子産業は順調に成長し、19世紀になる前までには、「パナマハット」のヨーロッパへの輸出が始まっています。
 
「パナマハット」が「パナマハット」と呼ばれるようになったのは、多くの人々が一攫千金を狙い、パナマ経由でゴールドラッシュのカリフォルニアを目指した19世紀中頃のことです。パナマの気候は日ざしが強く、エクアドルから輸出された帽子は爆発的に売れました。
 
パナマでの人気とは裏腹に、アメリカではそれほどポピュラーにならなかった「パナマハット」。しかし、セオドア・ルーズベルトがパナマ運河を訪れた際に「パナマハット」をかぶっていたことから、アメリカでも人気に火がつきます。「パナマハット」は、1944年には、エクアドルナンバーワンの輸出品に成長しました。
 
20世紀の「パナマハット」は、多くのセレブリティーと共にありました。映画俳優、政治家など、当時のファッションをリードする人々が「パナマハット」を愛用しました。「グレート・ギャツビー」のロバート・レッドフォード、「アラバマ物語」のグレゴリー・ペックなどが「パナマハット」をかぶる姿は、多くの人々の目に焼き付けられました。
 
現在、「パナマハット」生産の中心地は、エクアドルのクエンカです。クエンカの街には多くの「パナマハット」メーカーが集まっていますが、ここに集まるメーカーのほとんどが、クオリティーに重点をおいた帽子作りに励んでいます。クエンカ近郊では、完全ハンドメイドの伝統的な「パナマハット」作りが行われています。

 
  •   パナマハット作りの工程

「パナマハット」は、その昔はすべて手作りで作られていました。現在では多くのメーカーが機械を導入し、多くの工程は機械により行われています。しかし、高級ブランドの「パナマハット」の多くは、未だに熟練の職人によるハンドメイドが主流です。17世紀からエクアドルに受け継がれてきた、帽子の手編み技術と文化は、2012年、UNESCOの世界無形文化遺産に指定されました。
 
  •   ハイクオリティーのパナマハットである証

クエンカの街では、クオリティーに重きを置いて「パナマハット」作りが行われています。ハンドメイドで作られる「パナマハット」は、いくつかの点でそのクオリティーの高さを確かめることができます。
 
  •   素材

トキヤ草の繊維から作られる帽子の素材。その素材自体がクオリティーの目安になります。高いクオリティーを持つ「パナマハット」は、繊維がきめ細かく、しかも色が均一でムラがありません。
 
  •   編み込み


編み込みは密なほど高いクオリティーだと評価されます。
 
「パナマハット」の原材料となるトキヤ草は、エクアドルの熱帯雨林にのみ自生する植物です。トキヤ草には、「パナマハット」作りに適した部位があり、高級な「パナマハット」はその部位を使用して作られます。この部位を細かく裂き、その後に煮沸、さらに自然乾燥させます。
 
乾燥を終えた素材は、その後、クラウンから編み込まれていきます。編み込みのパターンにはいくつかの種類があり、職人が手で編み上げます。クラウンがある程度できあがると、その後は型にセットして編み込みを続けていきます。手作りでは、ひとつの「パナマハット」を仕上げるまでに数ヶ月ほどの期間を要します。精巧なパターンのものは、半年以上かかることもあるそうです。